軌道決定
Satcatでは、GNSSテレメトリを搭載した宇宙機向けに、軌道決定サービスを提供しており、LEOP(打ち上げ初期運用フェーズ)から軌道上運用フェーズまでを支援します。軌道決定サービスは、実際の誤差をより現実的に反映させた共分散を用いて、信頼性の高い軌道暦を生成し、Satcatプラットフォーム全体でのスクリーニングやカタログ化、協調ワークフローに使われます。
Orbit Determination-as-a-Service (ODaaS)を利用するには、Satcat OperationsのEnterpriseプランへの契約が必要です。
サービスの概要
軌道決定は、オペレーターがアップロードしたGNSSデータとマヌーバのメタデータを元に、毎日自動で実行されます。結果には、共分散を伝搬させた予測OEMおよび後処理(post-fit)OEMが生成され、CCSDSの形式の沿って出力されます。 このデータは接近評価や協調ワークフローを行う際に使用されます。
その他主な特徴は次のとおりです。
- 生成された軌道決定は毎日更新され、プラットフォーム全体へ反映される
- 力学モデルおよび残差に基づいた、より現実的な共分散を採用
- LEOPと軌道上での衛星運用をサポート
- Kayhan Dynamics OD SDKを介したSDK/APIの完全統合
- 公開カタログサービス(例:Space-Track)へのアップロード(任意)
オペレーターが入力する項目
軌道決定を行う際、オペレーターは以下を提供する必要があります:
- CSVまたはJSON形式のGNSSテレメトリ
- CCSDS Orbit Parameter Messages (OPM)形式のマヌーバ情報
- 宇宙機のパラメータ(例:質量、抗力係数、断面積)
アップロードは、オンボーディング時に発行される認証情報を使用し、安全なS3エンドポイントを介して実行されます。
GNSSテレメトリに必要な内容
テレメトリファイルには以下を含める必要があります:
- UTC、GPS、またはTAIタイムスケールでのタイムスタンプ付き衛星位置データ
- 可能な場合、任意で速度ベクトルおよびDOPデータ(Data of Precision、即位精度の劣化の程度を表すデータ)
- ファイル名のフォーマット:
gnss_<NORADID>_<timestamp>.csvまたは.json
マヌーバメタデータ
軌道決定ウィンドウ内でマヌーバが発生する場合は、以下の内容を含むOPMファイルをアップロードしてください。
- 最新の宇宙機パラメータ
- マヌーバの実施時刻とdelta-Vベクトル
- マヌーバの不確実性成分(任意)
- ファイル名のフォーマット:
maneuver_<NORADID>_<timestamp>.opm
センサーデータフュージョン
タスキング機能を有効にしたEnterpriseプランのユーザーは、GNSSテレメトリと商用追跡データを軌道決定プロセスに統合して、軌道決定のフィット精度と共分散の現実性を向上させることができます。
主な特徴は、
- Kayhan Spaceと提携する商用センサーネットワークのデータに対応している
- 軌道決定パイプラインに自動で統合
- 融合後のODの結果は、従来と同じOEMと共分散形式を維持
この機能を利用することで、以下のようなことが可能になります。
- GNSS信号の喪失時や軌道が劣化した際の衛星追跡を継続
- 高リスクな接近事象が発生した際の共分散の縮小
- LEOP中の新規打ち上げ衛星の位置データ取得
- 未相関または追跡精度の低いRSOの軌道の精度改善
軌道決定の結果
軌道決定の結果は、Ephemeris Repositoryページから、またはDynamics SDKを介してダウンロードできます。
- OEM: 伝搬済みで現実的な共分散を含む予測値および確定値を生成
- TLE: 地上局での追跡支援を目的に、毎日更新
- QCレポート: 品質管理、解の精度評価、残差診断のをまとめた概要の提供
- イベントスクリーニングおよびオペレーター調整ツールとの完全な統合