運用中のデータ
Satcat Operationsでは、オペレーターがアップロードした自身の衛星の軌道暦をもとに、リアルタイムに接近評価を行ったり、マヌーバ計画や双方のオペレータの衝突回避の意向の共有をサポートしています。このような運用中のデータが適切なメタデータとともにSatcat Operationsと共有されると、より精度や信頼性の高い衝突リスクの評価を行えたり、オペレーターとの協調がより正確にとりやすくなります。
オペレーショナル・ステータス
オペレーターが軌道暦をアップロードする際に、追従する予定の公式な予測軌道として指定した場合、その軌道暦は**Operational(運用中)**として扱われます。Satcatはこのデータを以下の目的で使用します:
運用中ステータス
- 接近事象と関連したリスク数値を更新する
- 他のオペレーターに衝突回避の意図を提示する
- 自律的または手動のマヌーバ計画に情報を提供する
軌道暦ファイルは天体暦リポジトリを通じて管理されます。
メタデータの項目
「運用中」ステータスの軌道暦には、以下のように、その役割とコンテキストを示すためのメタデータが含まれていることがあります:
コンテキストタグ
以下のようなAPI値はコンテキストタグと呼ばれ、アップロードされた軌道の意図を示します。
API値 | 説明 | 衝突リスク緩和の意図 |
---|---|---|
ROUTINE | 通常の軌道予測 | "衝突リスクを緩和する意図はありません" |
MAINTENANCE | 軌道制御マヌーバ | "衝突リスクを緩和する意図があります" |
COLA | 衝突回避マヌーバの計画 | "衝突リスクを緩和する意図があります" |
NOVEL | 未カタログ化または一時的なアセットの軌道 | "衝突リスクの緩和は未定です" |
DECAY | 軌道離脱または寿命末期の予測 | "衝突リスク緩和の意図は未定です" |
NULL | コンテキスト値が選択されていない | "意図は未定です" |
軌道暦のカテゴリタグ
以下のようなAPI値はカテゴリタグと呼ばれ、アップロードされた軌道暦のカテゴリを定義します。
API値 | 説明 |
---|---|
OPERATIONAL | オペレーターがアップロードする、今後追従予定の公式の予測軌道 |
PREDICTIVE | 第三者から提供された予測軌道 |
DEFINITIVE | 過去の軌道を再構築したもの(多くは平滑化されたGNSS) |
THEORETICAL | シミュレーションされた軌道暦またはマヌーバ計画時に作られた試験用の軌道暦 |
NULL | 指定値が選択されていない |
OPERATIONAL
またはPREDICTIVE
として指定された軌道暦は、接近リスク評価の更新時とオペレーターの意図の表示の際に利用されます。一方、そのような指定のない軌道暦は内部での分析のみに使用されます。
衝突リスク緩和の意図の通知
適切なメタデータを持つ軌道暦がアップロードされると、Satcatは自動的にその衛星の意図を推測し、対応する接近事象を以下のいずれかのステータスと共に更新します:
- Intending to mitigate(衝突リスクを緩和する意図がある)
- Not intenting to mitigate(衝突リスクを緩和する意図がない)
- Intent undetermind(意図は未定)
この意図ステータスを表示することによって、オペレーターはリアルタイムで調整を行わなくても、衝突回避マヌーバを行う責任を随時振り分けることができます。
意図ステータスは、両当事者が連携した宇宙飛行安全にオプトインしている場合にのみ、他のオペレーターに表示されます。
CDMの種類とリスク評価
Satcatでは、以下のような2つの異なるCDM(接近通知)をオペレーターへ提供しています:
-
Operational(運用中)CDM
Operational CDMとは、オペレーターによってアップロードされたOPERATIONAL
な軌道暦を基に生成されるCDMです。最も正確なリスク評価であり、リアルタイムの連携や衝突リスク緩和の計画をする際に適しています。 -
Theoretical(試験用)CDM
非運用RSOの軌道暦を用いた時、やマヌーバの計画時などシミュレーションを行った際に生成されるCDMです。このCDMは主に「what-if」分析に使用されますが、対応する運用指定とペアにされない限り、外部には共有されません。
試験用CDMは、基になるデータソースが運用中ステータスのデータでない限り、他の組織には表示されません。
軌道暦から導出されるデータ
「運用中」CDMレポートには、オペレーターがアップロードした軌道暦から導出されたTCAでの状態ベクトルと共分散行列のみが含まれます。この軌道暦ファイルが組織間で共有されることはありません。
「運用中」CDMレポートに掲載される値は、以下を生成するために使用されます:
- 更新された衝突確率
- 最接近距離と方向の不確実性
- マハラノビス距離と接近および衝突リスクのトレンドデータ
導出データは、CDMの発行元としてKAYHAN
というラベルが付けられ、接近事象ページのタイムラインやジオメトリツールで使用されます。
「運用中」CDMレポート
Satcatでは、最新のOPERATIONAL
軌道暦を使用してリスクメトリクスを再計算し、「運用中」CDMレポートを生成します。このレポートは:
- CDMの発行元である、
KAYHAN
の下で公開されます - オペレーターがアップロードした、最新の軌道暦から得られた導出データを含みます
- 両組織がオプトインしている場合にのみ、相手のオペレーターに表示されます
一方のオペレーターのみがオプトインしている場合、そのオペレーターは自身のオペレーショナルCDMレポートを受け取れますが、二者間のデータ共有は行われません。
詳細については、以下を参照してください: